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切断蹴球Vol.25「アンプティサッカーの歴史 日本編ⅩⅤ~ロシアW杯中の傷害~」
- 2015/9/24
- コラム&インタビュー, 色々なスポーツ

初めての世界大会、しかもワールドカップということでこれまで国内の選手しか見たことが無かった私にとっては正直どんな外傷が起こるのか想像もできませんでした。想像できないから準備も進まず寝られない日が続いたのかも知れませんね。
さて、実際にはどのような傷害が起こったかというと、頭頚部0%、上肢31%、体幹17%、下肢53%となりました。この結果を第2回の日本選手権の結果と比べると下肢の割合は変わらず、熱中症の代わりに上肢・体幹が増えたことになります。やはりレベルが上がってくると、また相手が強くなるほど上半身の傷害が増えるのだろうと推察できます。選手の背景も影響しているかもしれません。日本人は病気か事故による切断者が多い。海外の選手は戦傷者の割合も少なくない。そうすると元々兵士だった人が切断に至り、サッカーをしているということになる・・・。基礎体力が違いますよね。上半身の傷害が多くなるのはこのスポーツがクラッチを持つからだということは以前にも話しましたが、もう一つ重要なのは転倒の多さです。ロシアで転倒数は数えていないですが、日本での試合よりW杯での転倒の方が多く、激しかったと記憶しています。テーピングなどでクローズカフにしている日本人選手はどうしても転倒時上半身を痛める確率が高くなるのだと思います。
世界を経験して、トレーナー目線で他国を観察していると気づくことがあります。海外帯同は難しいことも多いですが、自分に与えられた役割を見直す良い機会にもなりますよ。日本に帰ってからどう他の選手達に活かすか、次に帯同するなら何に気を付けるか、勉強ばっかりですね。