切断蹴球Vol.17「アンプティサッカーの歴史 日本編Ⅸ」
- 2015/7/6
- 色々なスポーツ

アンプティサッカーは義足を外して両手にロフストランド杖(業界用語:クラッチ)を持って競技を行います。したがって脚は1本、この脚を怪我するとアンプティサッカーはハイパフォーマンスを保てなくなるどころか、サッカーができなくなると思った方が良いでしょう。第1回の選手権で下肢の傷害が多かったことを考えると、まずは杖をうまく使って身体をコントロールできるようになること、それから下肢の傷害を予防することが重要になると考えたわけです。
練習前にジョギングしてストレッチして・・・というのは当たり前として、そこから競技を開始するまでの身体作りというところでのメニューを考える必要がありました。参考にしたのはFIFA傘下のF-MARCという組織が作成した「The11+(イレブンプラス)」http://f-marc.com/11plus/home/です。彼らはこのプログラムを“a complete warm-up programme”とまで言っています。実際に日本でも14歳以上のサッカー選手に使用されており、ある研究では下肢の傷害が約30%減った、パフォーマンスが上がったという結果を報告しています。
このプログラムは下肢の傷害が多かったアンプティサッカー選手にはもってこいで、尚且つ体幹のプログラムが組み込まれていることは、脚1本で立つ、両手杖で身体を支えるこのスポーツの特徴をカバーできるのではないかと考えました。
とはいえ、簡便に、かつ自分たちでできる形で提供しなくては意味がなかったので、レベル別にはせず、A4一枚に集約し、オリジナルには無いアンプティサッカーに必要と考えられる上肢のメニューを追加し、「The11+ for Amputee」を作成しました。中々力作だと自分では思っているのですが。
今でもこのメニューはA-pfeile広島の選手は使用しています。怪我が予防できているかどうかは・・・。