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- 切断蹴球Vol.20「アンプティサッカーの歴史 日本編ⅩⅡ~第2回日本アンプティサッカー選手権大会本部トレーナー帯同報告~」
切断蹴球Vol.20「アンプティサッカーの歴史 日本編ⅩⅡ~第2回日本アンプティサッカー選手権大会本部トレーナー帯同報告~」
- 2015/8/3
- コラム&インタビュー, 健康, 色々なスポーツ
Vol.8で第1回の選手権での怪我について書きましたが、第2弾です。当日の私の帯同目的は全選手に対する試合前のケア、試合中の急性外傷に対する応急処置、試合後のケア、自分のチームのW-upでした。
それからもう一つ前回と違ったことはトレーナー志望の理学療法士の卵2人が本部帯同アシスタントトレーナーとして参加したことでした。どういう経緯だったかは覚えていませんがトレーナー志望ということはいわゆる見学だったわけで・・・。私も当時は切断のアスリートに対してどんな注意点が必要でどんな要望が多くて、どんな怪我が多いのか、などなどまだ模索中でしたのであまり良い「先生」ではなかったかも知れません。
向こうは当然分からないわけで、忙しそうに動いている私の脚を引っ張らないように(と思っていたかどうかは分かりませんが)確実にできる仕事、例えばicingなどを一所懸命にこなしてくれていたと思います。また一緒に仕事ができる日が来ると良いですね。
さて、話が逸れました。まずその日の天候について。雨時々晴or晴時々雨のどちらとも言えない天気、湿度は高く9月16日という残暑と言うべきかまだ盛りと言うべきか迷うくらいの気温。確実に嫌な天候でしたね。実際の怪我としては頭頚部0%、上肢23%、体幹8%、下肢54%、熱中症15%でした。
第1回と違うところは、上肢体幹の怪我が出てきたこと。当然と言えば当然ですが内容は打撲と捻挫。サッカーがコンタクトスポーツであること、クラッチを持ったまま転倒すると肩や肘が危ないことがやっと証明されました。もちろん1年間分からなかったわけではないので対応はしていましたが、印象ではなく結果として数字に現れることで選手も納得してくれたと思っています。
また、熱中症が出たことはこちらのコントロールミスだったですね。持論ですが、「熱中症はトレーナーのせい」だと思っているので。
大会の感想を最後に。全体を通して非常にクリーンな試合と感じました。Fair Playとみるか、お互いのPhysicalが弱いため相手にとって脅威となるコンタクトが無かったとみるか、代表に選ばれている選手が怪我を恐れた・・・か、は憶測にとどまります。熱中症は重症でしたが外傷としては大きな怪我は無かったですね。
では、処置として適切だったかどうか、また予防策を講じることができるかなどの課題に関しては、雨天と晴天が1試合中にも入れ替わる展開の中熱中症が発生したことは注意すべき事象だと思います。
対応策は①9月の暑い時期の開催を避ける、②水分補給方法、栄養摂取方法に関する注意喚起を大会本部が行う、③大会当日の体調調査を実施する(バイタルチェックなど)、④起こった時の為にDr・Nrsを帯同させ点滴を打てるようにする、などが挙げられます。
全体的な指摘としては、本部スタッフとして大会運営会議には参加すべきだったということですね。Icing用の氷の準備やトレーナーバッグの中身のチェック、担架の用意や上記対応策の進言は運営会議に参加すれば可能だった可能性があります。今大会にはTSAと関西にチーム付のトレーナーが帯同していて助かりました。もし九州にも帯同可能なトレーナーがつけば、救護室にDr+Nrs、あとは各チームのトレーナーによって大会のメディカル部門は成立する可能性もあります。
いずれにしても全体のレベルが上がり、比較的怪我が少なく、とても興奮する良い試合を間近で観戦できたことはトレーナー冥利に尽きる、ということでちょっと長くなりましたが帯同報告でした。