切断蹴球Vol.10「視覚障がい者との会合での気づき」
- 2015/5/18
- 色々なスポーツ

前回は広島に新たに誕生したブラインドサッカーのチーム「A-pfeile広島BFC」の話をしました。なにせ1年以上の構想期間を経て誕生したチームですので、設立すると決まってからは非常にスムーズだったと感じています。つまりハードの整備は意外とスムーズにいったわけです。構想期間は1年以上ですが、私が実際に選手候補に会ったのはある居酒屋でのミーティングが初めてで、確か2月中旬のことでした。
そこで目にしたのは机上では絶対学ぶ、感じることのできない視覚障がい者が持つ特有の問題でした。ただ、問題ばかりが浮き彫りになったのではなく、お互いに認め、助け合うごく当たり前の素敵な光景が広がっていて、とても新鮮な気持ちだったことを覚えています。
皆さんは居酒屋の店舗が集まったビルの中にあるお店に辿り着くために何か工夫はしますか?また、実際に店の中に入り注文するまでの間に何か気になること、問題になることはありますか?視覚障がい者にとってどのような困難が待ち受けているか想像したことがありますか?
おそらく皆さんは、
-そのビルについて、「この辺のはずなのになあ?」と言いながら上を眺めて居酒屋ビルと名前を見てまずそのビルの入り口を探す、見つけたら入ってエレベーターを探す。上りのボタンを押し、開いたら、そして入れそうだったら乗り込む。掲示されている看板やボタンからお店の階を探し該当階のボタンを押して着いたら出る。入り口を探し靴を脱いで下駄箱に入れて案内された部屋へ。メニューを見て料理を決め注文する。―
という手順を踏まれるでしょう。視覚障がい者だと困難な事、何項目あると思いますか?
あえてここで全てを挙げて説明することはしませんが、すでに待ち合わせから私の気付きは始まっていました。お店に入ってからも、「器が熱くなっておりますのでお気を付け下さい」「トイレはあちらです」「ソースやしょう油はテーブルの物をご自由にお使いください」「こちらのお皿はお下げしても宜しいでしょうか?」・・・挙げればキリがありません。私は視覚障がい者は移動の障害である、とどこからともなく聞いていてそう思っていましたが、とんでもない、気づいていないだけでした。
さらにそこで学んだこと、それは同級生や教職員などいつも関わっている人達は素早く気づき、すぐに行動に移せることでした。全盲の方の目の前にお皿を持ってくること、そのお皿の大きさを教え、どの場所にどんな料理が置かれているか伝達することを弱視で少しでも見える方は援助する。それが何とも自然で当たり前の行動に見える。とても良い体験でした。
もっともっと健常者と障がい者が触れ合う場所を作り、一人でも多くの健常者が自然に振る舞えるようになることを願います。
我々A-pfeile広島はその手助けをすることが使命ですね。